※このインタビューは2008年6月におこなわれました。 肩書等、当時のままになっています
株式会社リクルート 代表取締役社長 柏木 斉
お客様の悩みを一緒に抱えることで、
提供するサービスをいかに変えていくかがポイントです。(柏木)
「まだ、ここにない、出会い。」というメッセージは、
新しい価値の創造を目指している素晴らしいコンセプトですね。(内永)
いろいろな個性を、発揮させる力を持つことができるか、
それがとても重要だと思っています。(柏木)
女性自身もどうチャレンジしていくのかを
真剣に考えなくてはいけないタイミングに来ています。(内永)
内永 今日はお目にかかれるのを楽しみにまいりました。「まだ、ここにない、出会い。」という御社の新しいメッセージを拝見し、難しい日本語だなと思いました。どういう思いからこのメッセージにされたのか教えてください。
柏木 最初から難しい質問ですね(笑)。以前は「FOLLOW YOUR HEART」というメッセージを使っていました。情報サービスをご利用いただく一人一人の方に自分の実現したい世界があり、我々はそれを実現していくお手伝いをしていこうという思いでした。しかし、これだけ情報サービスが広がってくると、いろいろなものが目の前にあるが故に、自分なりの行動がとれない、自分に合ったものを選べないというのも現実です。そうした中で自分で情報を選びなさいというのではなく、一緒に悩みながら先に進むお手伝いをしたいというのが、このメッセージに込めた思いです。
内永 情報はありすぎるほどになり、取ろうと思えば何でも取れます。これからも洪水の如く情報は拡大すると言われていますが、そうした中で今おっしゃったポイントはとても大切だと思います。人としてある程度マチュアでないと難しい時代なのかなあと思うのですが、いかがですか。
柏木 我々はサービスの提供者ですが、サービスの受け手でもあります。我々自身お客様の悩みに関わることで、今までとは違う世界に踏み込めるのではないかと思っています。
内永 そういう考え方って私は好きですね。今までの日本は横並びで、自分はこう思うけど、周りはこうだからと、自分自身がどう対処するかについてはあまり真剣に考えてこなかったような気がします。これからはだいぶ変わってくるでしょうか。
柏木 おっしゃる通り、今までの仕組みは、決められた役割を一生懸命やれば成長してきた社会だと思うのです。が、これまでのやり方では通用しなくなってきています。そういう社会に向けて少し前向きに自分の人生を切り開いていくことを、我々のサービスを受ける人たちにも理解していただきたいし、我々としてはそれを応援していきたいのです。
内永 それは、ハイバリューのサービスなんでしょうね。
柏木 メディア業として、我々自身サービスを変えていかなくてはなりません。50年前にスタートしたときは、こうしたニッチな情報の会社は他にありませんでしたし、情報はできるだけたくさん集めることに価値がありました。次には情報の信頼性が大切だということで審査などに気を使ってきましたが、これも今はあたりまえになってきています。そういうふうにメディアが変わる中で、それを乗り越えるもう一段上のサービスとは何なのか、メディアの進化の中で何をやっていくのか、大変な脅威であり課題でもあるのですが、逆にチャレンジする楽しみでもあると思っています。
内永 今非常に多様なデータがあり、ある程度の共有化がある一方で、極めてパーソナライズしています。横の広がりと縦にとんがった部分、そのバランスでバリューは出てくるのでしょう。そういう意味で、御社のソフトなメッセージの中に周到な戦略があると感じています。リクルートさんの社員はちょっと違う、個性的だと言われていますが、こうした時代にベストフィットしていらっしゃるのではないでしょうか。
柏木 我々のサービスは、もともと世の中に不均衡に存在しているものを、中に入ってつなぎ合わせることで喜んでいただくというのが我々の価値ですが、それがうまく機能するようになると、その価値はなくなっていきます。そういう構造のなかにあって、速いサイクルでサービスを入れ替えて進化させていく必要があります。
それはクライアントからの要請であったり、サービスをご利用いただいているユーザーの要望であったりですが、それらに対して我々がどこまで応えられるかです。推進する力と、一方で新しいものを生み出していくクリエイティブな力の両方がないと、本当の意味で商品のイノベーションはできません。
それに今の陣容で十分かと言われると、まだまだです。今回J-Winに参加させていただき、世の中の変化に対して我々自身が変わっていくんだと意識する機会を与えていただいたのは、まさに刺激的なことでした。
内永 切り口は業種によって違うかもしれませんが、イノベーションという点ではどこも同じことが言えると思います。とくにテクノロジーの変化というのは、最初の1年か2年が勝負。それが世の中をどう変えていくか、それによってそれぞれのバリューやマーケットがどう変わっていくのか、常に走りながら対応していかなければなりません。とんでもない問題がいっぱい出てくるなか、イノベーションはそういう側面が常に求められています。
そういう状況の時代に、人材がモノカルチャーで同じ成功体験の方々だけが集まって、頭を寄せ合って頑張っても限りがあります。今おっしゃったようなことを本当にやろうとすると、人材のダイバーシティというのはとても重要で、リクルートさんの場合もまさにダイバーシティが求められていますね。
