
※このインタビューは2008年3月におこなわれました。 肩書等、当時のままになっています
日本アイ・ビー・エム株式会社 代表取締役社長兼会長 大歳卓麻氏
日本では、女性のエグゼクティブをあまりお見かけしません。
世界から見たら、これは異常なことです。(大歳)
大歳さんの牽引力は大きかった。
何かする時、毎回必ず「女性は?」と必ず聞きましたね。(内永)
一番大きいのは、企業のトップの考え方でしょう。
トップが本当にそう思わないと、企業は変わってゆきません。(大歳)
いろいろな状況証拠を提示しても、まだダイバーシティに懐疑的で
確証がない段階で決断することこそ、トップの仕事ですよね。(内永)
内永 日本IBMのウイメンズ・カウンシルが発足したのは10年前の1998年ですが、99年には大歳さんが社長になられて、女性登用をさらに推進していただきました。私がよく覚えているのは、幹部候補を選ぶ際に、大歳さんは必ず「女性の候補者はいるのか」と、毎回繰り返し、聞かれましたね。
大歳 そういったリストに女性が入っていないことが多かったからです。最近僕はそれを、お客様にもお話させていただいています。日本では、どこの会社も女性のエグゼクティブは少ない。日本以外の国から見たらそれは異常なことです。世の中の人口は、だいたい男女半々ですから、エグゼクティブも半々で然るべきでしょう。
内永 その異常という感覚をみなさんは持っていません。とはいえ、J-Winには、83社(08年4月)が参加くださるなど、ここへきて急速にダイバーシティという考え方が企業内、とくにトップの方々に浸透してきています。そういう意味で、大歳さんの牽引力はとても大きかった。
大歳 実際、当社でも進捗状況は、はかばかしくありません。女性のエグゼクティブを増やすのは、時間がかかります。新入社員から中堅、管理職、と続く女性社員のパイプラインそのものを太くしないと、エグゼクティブまでにはなかなか到達しません。
今でも女性社員に対して「女の子」という表現を耳にすることがありますが、そういう呼び方はすぐに改めるべきでしょう。
内永 IBMはダイバーシティを全面的に経営戦略として位置付けてきました。1998年にウイメンズ・カウンシルがスタートしたときは、日本IBMの中で役員は私一人、理事もいませんでしたが、昨年私が退任するときには女性の役員は5名になり、理事や部長はかなりの人数になりました。ようやくここまで来たわけですが、今後もこれを持続していかなければなりませんね。
大歳 もちろん持続していきますし、さらに伸ばしていくつもりです。しかし、相手があっての企業活動ですから、社会全体が変わらないと企業としても難しい面はありますね。もう営業職ではそういうことはありませんが、女性の事業部長、あるいは役員となると、お客様に歓迎されないことがあるという話をいまだに聞くことがあります。それを認めてはいけないのですが、現実は影響を受ているケースもあるのだと思います。
内永 最初に女性の営業職を作ったときも、「なぜうちの担当は女性なんだ」とお客様からお叱りを受けたことも。
大歳 以前は営業に限らずSEでもありました。それに対して「仕事はできます。もし、彼女の能力に問題があるようでしたら言ってください」と言うと、だいたい納得していただけました。
内永 そうしたクレームに対して、「すみません」と会社が男性に変えてしまったらだめですね。きちんとご説明することで、お客様も「そうか、では力を見てみようか」というふうに思ってくださる。それがまず一歩です。
