
※このインタビューは2007年10月におこなわれました。 肩書等、当時のままになっています
KDDI株式会社代表取締役社長兼会長 小野寺正氏
女性が働きやすくなるということは、男性も働きやすくなるはずです。
働き方を選べる時代になるでしょうね。(小野寺)
これからは、働き方を自分でマネジメントする、
ワークライフ・マネジメントが必要です。(内永)
内永 小野寺社長にはJ-Win発足前から激励のアドバイスをいただき、またスポンサー会員にもなっていただきまして、とても感謝しています。
最近になって、トップ・エグゼクティブの方もダイバーシティとおっしゃる方が増えてきましたが、小野寺さんはいつ頃、どういうきっかけで、その必要性を感じられたのでしょうか。
小野寺 内永さんとのお付き合いも永いですが、DDIのときに外国企業の二人の女性ダイレクターとの出会いがあり、アメリカでいかに女性が活躍しているかを教えられました。我々のユーザーは半分女性ですから、女性の意見を取り入れていかなければダメだろうという意識を持っていましたから、女性の総合職の問題が出てきたときも、希望者は全員総合職にすればいいと私は言っていました。また広報の女性たちに頼まれて、そうした女性エグゼクティブたちと話をする機会を設けたりもしました。
女性が働きやすくなるということは、男性も働きやすくなるはずです。高度成長期のようにみんなが同じ方向を見て走ればいいという時代ではなくなりました。社員が自分の働き方を自分なりに選べる時代にならざるを得ない。そうしなければ社員にしても、真剣に仕事に取り組めない事態になりかねない。それはとりもなおさず、いろんな働き方があっていいのではないかということです。そうしたなかでみんなが力を合わせていくことが必要だと思っていましたから、内永さんから話があったときにすぐに飛びついたし、その前から内永さんにいろいろお願いしていたのですよね。そういう意味でいいタイミングでJ-winを立ち上げられたと思います。内永さんのような強力なリーダーシップをとられる方がいないと、こういう組織は立ち上げられません。
内永 そう言っていただけると頑張ってきた甲斐があります。女性にとって働きやすい会社は、男性にとっても働きやすいというのは、私もその通りだと思います。最近は、そういう視点で会社を選ぶ男性も増えてきています。
最近、ワークライフ・バランスといわれることが多いのですが、私は持論としてバランスではなくて、ワークライフ・マネジメントだと思っています。働き方を自分でマネジメントできる、それだけのフレキシビリティを会社が与えることによって、みんなが最適な状態で働けるということでマネジメントなのではないかと。
小野寺 そうですね。男性だって昔と違って、外で働くだけが仕事ではありません。少子高齢化の、とくに高齢化の問題でも、我々の年齢になると親の問題をみんな抱えています。男性だって場合によっては、ある程度短時間勤務にして親の面倒をみざるをえない。あるいは介護休暇を積極的にとる。そうしたフレキシビリティを持たせないと、日本全体がおかしくなるのではないかという気がしています。そういう意味で、いろいろな働き方を会社側が提供していくのが我々の義務のような気がするのです。うちもまだ十分にはできていませんが。
内永 みなさんそう思って、そしていろんな休暇を作るのですが、社員のみなさんはとらないのですよね。それはなぜなのでしょうか。
小野寺 メンタリティとして、会社は仕事を最優先で考えているということだと思います。それと同時に、無言の圧力的なところがどうしてもあります。勤務時間で管理する時代ではなくなってきているのは間違いありません。成果を出せば、勤務時間はどうでもいいと、そうなってこないといかんと思います。
内永 じつは女性たちも、会社に長くいることがいいという風潮のなかで、育児と仕事とのバランスに悩んでいます。
今これだけICテクノロジーが機能し、全国にネットワークが広がっていますから、物理的にいつもオフィスにいなければならないということはないと思います。やっぱり新しい働き方を、会社がかなり積極的に推し進めていかないと、いくら制度を作っても実際には使われません。これはトップの方の評価がないと難しいと思うのですが。
小野寺 私は人事にうるさく言っているのですが、我々トップがいくら旗を振っても、問題になるのは中間管理職といってもいいかもしれません。そういう人たちの意識を変えていくのが難しいですね。部門長はある程度の成果を、しかも短期的に求められていますから、ある意味では当然なんでしょうが。
今、成功している社のお話を聞くと、社員の中で会社の価値観が共有できています。同じ理想に燃えていると勤務時間なんて関係ありません。お客さんに満足してもらって、それが自分たちの働く喜びにも結びつく、そこまでいくのにどの会社も時間がかかっています。比較的中小の会社ですとトップが自分で動き回ってできるのですが、ある程度の規模になると、それだけではすまないですね。
