

Q)まず、リクルートさんに就職された経緯について伺えますか?
A) 私の父は、熊本で小さな不動産の自営業をしておりまして、それを見ながら育ったものですから、きっと自分はいつかそれを継ぐのだろうと思いながら大きくなりました。大学は東京の大学、学部は法学部に進学したのですが、就職する時になって「やっぱり将来は家業を継ぐのだから経営戦略を学ばなくては」と思いまして、就職活動ではコンサルティングの会社ばかり受けていました。
一方、リクルートでアルバイトをしていたこともあって、「うちも受けてみたら?」と声をかけてもらっていたんです。その採用面接のなかで現在は執行役員の長嶋由紀子、唯一の女性役員ですが、恥ずかしげもなく自分は経営戦略を勉強したいと言ったんです。すると、「経営を学びたいのなら、リクルートで営業の仕事をするのもいいわよ。トップにも会えるし、経営戦略の中でもとても重要な「採用」という領域が分かるし、会社の経営そのものを見ることもできるのよ」と言われました。
コンサルはどちらかというと、こちらの提案事項をまとめて御社はこうすべきではないでしょうかとアプローチするもの。営業のほうが泥くさいけれども、現実に即した提案をしていくもの。それならば自分は営業のほうが合っていると思いましたし、当時は人事部長だった長嶋がまたすごくかっこよくて、こういう女性がいる会社なら間違いないだろうと、気持ちが決まりました(笑)。
1997年の入社とともに、希望でもあった採用領域の営業部署に配属されました。『リクナビ』や『就職ジャーナル』、『フロム・エー』といった就職関連媒体の広告営業からのスタートです。
Q) 実際に営業の仕事を始められて、いかがでしたか?
A) 営業所の新規グループに配属されたのですが、そこでは飛び込み営業や、電話掛けなどをして、新規のお客様に営業をするという仕事をしていました。ちなみにその部署に配属になった新人は、大学時代ずっとアメフトをやっていた男の子と私の2人(笑)。それはそれは辛かったですね。
もう根性の世界ですよ。例えば「ハイ、君の担当は神田だから」と神田一帯の地図を渡されます。渡されたら地図にある会社をしらみつぶしに当たるんです。雑居ビルがあれば最上階までエレベーターで上がって、そこに入っている会社に“コンコン”ってしながら1件1件訪問営業して降りてくるんです。「セールスお断り」なんて札が貼ってあっても、そんなものは無視、というような日々です。
朝、とりあえず会社を出たら喫茶店に入って「ふー(体の力を抜く仕種をして)・・・。よし行くぞ!」と気合いを入れて出かけ、帰社したら上司に「今日、話をした人の名刺を見せて」と言われます。それで、一日の自分の行動を証明するわけです。
もちろん上司も新人がそれほど受注をとれるとは思っていませんから、度胸をつけさせるということと、仕事をとることの大変さやとれたときのうれしさをまずは教えているんです。当然と言えば当然ですが、名刺さえ下さらない方もいて、それでは自分の名刺も置いていけませんから、「私がこの地区の担当になりました」で始まる、それこそ個人情報をめいっぱい書き込んだ紙を作って置いていくということもしていました。それを見て、例えば出身や趣味が一緒ということで親しみをもって連絡をくれたり、それが契約につながっていくかもしれませんから。新人ながらにない知恵を絞っていました。
そんな毎日でしたが、営業というのは、どちらかというと女性のほうが得意な仕事なんだなと思いました。女性のほうが度胸はあるし、取引先は男性が多いわけですから、当然かわいがられますからね。